#04 大田区在宅医療連携推進協議会の会長として、地域に在宅医療を広めるために活動する。

まず何といっても、在宅医療は良い医療

国民の6割の方が在宅での療養を希望しているという厳然としたニーズもありますから、それを供給できる体制づくりは非常に重要だと考えています。

国の医療政策では今後病院を増やすことは難しい上に、特に都市部では今でも療養病床は不足しています。

ですから多職種との連携による在宅医療でそのような患者さんをケアし支えていかなければ、東京などでは医療が崩壊してしまうと思っています。

在宅医療はチーム医療ですから、様々な職種の人たちが協力して一人の患者さんを支えなければなりません。

そのために多職種が連携して在宅医療を推進するための協議会が大田区在宅医療連携推進協議会です。

当院のある大田区は若い世代の流入も多く人口も増えている地域ですが、地域の中で長く住まわれている住民も多く、その方々が高齢化しており、結果的に高齢者の方が多い地域になっています。

最も大事な取り組みとして、在宅医療とは病院を追い出された患者さんが受ける医療ではないということ、そして在宅医療は正しい選択肢の一つであることを、区民の皆さんに理解してもらうための活動をしています。

そのための啓蒙活動の一つとして、地域の商店会のイベントなどで無料の健康相談を行ったりしています。

地域の多職種の方々と一緒に活動に取り組とその過程で新しいチームができ、そこではさらにお互いがより理解を深め合うことができる。そんな地域連携の姿を目指しています。

認知症診療はかかりつけ医が担い手。

認知症の患者さんの不安を解消できるのはかかりつけ医です。

認知症の人は、記憶を失ってしまうという非常に不安な病態だと思っています。認知症は診断が確定することによって、ご本人はもとよりご家族も大きな不安とストレスを抱え込むことになります。

ですから不安を少しでも和らげてご本人が安心できれば、いろいろな症状がずいぶんと改善されると思っています。

そのためには、古くからその患者さんを良く知っている顔見知りのかかりつけ医に毎回診てもらうことが重要だと思います。同様に、ご家族も安心できるように、何でもかかりつけ医に相談できる体制があることも理想的です。

認知症の患者さんの場合、投薬による治療ももちろん大事ですが、治ることのない病気だけに、患者さんやご家族の生活の不便さをどれだけ解消でき、満足した生活を送れるための支援かできるかが非常に重要だと思っています。

画像診断のような専門的な部分は専門医に任せますが、認知症の方が抱いている不安を解消できるのは、地域のかかりつけ医でなければできないでしょう。

ご家族にとっては、長い行き先の見えない旅路を共に歩むかかりつけ医がいることが、大きな支援になると感じています。

認知症診療ではでかかりつけ医は、薬物療法だけではなく、ご家族のケアという大きな役割も担っているのです。

私が考える在宅医療とは、"生活を支える医療"といえます。寝たきりの方、退院したいけどできない方、自宅で看取りたい方などのニーズにお応えすることが、この地域における当院の役割だと考えています。

この記事の著者/編集者

坂本諒 法人 役職

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この連載について

緩和ケアや在宅医療の目標とは、 患者さんのQOLを高め、生活を支えることです。

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