#04 『そんな社会を創っていこうよ』 の目指すところ。

次に登壇したのは、鳥取で藤田さんたちが作る「若年性認知症問題にとりくむ会・クローバー」でともに活動をしてきた川口寿弘さん。

藤田さんと出会ったのは、藤田さんたちが学校で「人権を考える会・たんぽぽ」を立ち上げ、そこに話題提供者として招かれた時からだとのこと。

本書の「はじめに」にも書かれているが、新聞の記事について「認知症について正しく伝えてほしい」と新聞社に掛け合った。

その後、記者が藤田さんの家に何度も来てくれ、最終的に特集で記事を書くことになったのだが、そのときにも川口さんが関わった。
「それから 年、認知症、アルツハイマー病についての捉え方も変わってきていると改めて思った。」
という。

「藤田さんはいつも認知症を自分のこととして考えてくださいと話します。
意味するところの一つ目は、もし自分がアルツハイマー病になった時にどう生きていきますかということ。
それから二つ目は、認知症になっていなくても、これまで認知症についてどのように考えてきたのか。 もし、関係ないとしてきたのであれば自分の問題として考えてほしいということだと思います。この二つ目がないと他人事になっている。」
と話した。

現在はリンクワーカーや認知症初期集中支援チームがある。

でも10年前は、認知症についての社会の認識はほとんどなく
「私は自分がアルツハイマー病と診断されたので、たんぽぽの会を今後どうするのかと川口さんに相談に行ったのでしたが、その時に認知症については偏見があり、理解が得られていないということを話し、そこを何とかしなければいけない。そもそも認知症への偏見は人権問題だということになり、クローバーの立ち上げにつながりました。」
と設立のいきさつを語る。

会を立ち上げた後も藤田さんが講演すると
「認知症の人に支援がいるのですか。支援が必要なのは家族の方ではないでしょうか。」
と聞かれることもあった。

川口さんは本書タイトルにある、『そんな社会を創っていこうよ』の意味とは、
「“今はまだそんな社会ではない”という告発であり、当事者の方に一緒にやろうよという呼びかけであり、周りの方に一緒にやっていこうよと連携を呼びかけることだと思います。この本がこれからの社会を変えられることにつながればと思います。」
と結んだ。

当日は本書を読んだ当事者の方が、手書きの文を持参して参加した。  

64歳のその男性は、
「14年間住みなれた家を出たとたんに方向が分からなくなり、違う風景に見えてしまった。自分に何かが起きていると感じて受診した結果、アルツハイマー病と診断されました。」
と辛い思いを告白し、そんなときに本書を読んで希望を持てたと感想を述べた。

藤田さんは
「認知症になったら社会から排除されてしまう。その人がしたいことができない。行きたいところに行けないというのはおかしいと思います。
 クローバーの会のマーク四葉のクローバーの葉には、ことばを受けとめて一緒に考えていく本人、家族、支援者、社会という4つの意味を込めています。 認知症になると辛いことも多いですが、そればかりではないのですから。」
と励ました。

この記事の著者/編集者

坂本諒 法人 役職

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この連載について

しなやかさと力強さで創る認知症になってもだいじょうぶな社会

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