#04 地域で支援を必要とする人たちに寄り添い、社会活動にも幅広く奔走する。
連載:本人だけでなくその家族も支えることが小児在宅医療だと思っています
2017.09.16
認定特定非営利活動法人だいじょうぶ
私が理事を務めるこのNPO法人だいじょうぶは、子どもの貧困対策の活動を行っています。
母子家庭の中には、子どもにご飯を作らなかったり、お風呂に入れなかったり、掃除をしなかったりという、養育能力の低いお母さんたちもいます。
このような家庭では、給食だけが支えだったり、汚いといじめられたり、成績が振るわなかったりする子どもたちも多くいます。
その子どもたちを、「Your Placeひだまり」という一軒家の施設に連れてきて、温かい手作りのご飯をお腹一杯食べさせ、お風呂に入れてあげ、勉強まで教えてあげて、お母さんのもとに送り届ける活動を、毎日無料で行っています。
もともとNPOとして母親、子供からお金は取らず自主事業として開始しまして、最初は全くのボランティアで助成金もないところから始まった活動でした。
今年で11年目になり、今では自治体からの助成をはじめ、多くの支援を頂けるようになりました。これは本当に凄い取り組みだと思います。
驚くべきことに、この活動を続けていくと、子どもが大きく変わってきます。本人は食事の心配もなくなり、清潔になることで学校でのいじめもなくなり、成績も上がってくるのです。
更には、子どもたちを助けることで、親も変わってきます。
それまでは児童相談所や役所の職員が自宅に来ても、絶対に家に上がらせなかった親が、子どもが元気になっていく姿を見て、自分も「ひだまり」に来るようになります。
そこで子どもと一緒に温かい食事をとると、自分の辛かった幼少期を思い出し、お母さんが涙するのです。
そこからヘルパーが入って、食事の作り方、入浴の仕方、掃除の仕方などを教えて、その家族を再生してゆくのです。行政の指導だけでは絶対にできないことだと思います。
今の日本では子どもの6人に1人は貧困といわれています。
子どもは親を選べません。親の養育能力が低いのであれば、それを補い救っていく社会的な養育の仕組みを作っていかなければならない。
この点では日本は非常に遅れていて、このような実態があることすら、あまり知られていません。一般のお母さんたちは、母親が怠けているとしか思いません。
ところが、養育能力が低いお母さんたちの多くは、自分も同じような境遇で育ってきていて、子どもに対する愛情の掛け方も分からないのです。だから、時には自分の子どもを虐待してしまったりするのです。
今は家庭の姿が大きく変わってきています。離婚も多く、母子家庭も多くなっています。
しかも母子家庭の母親にとっては働きにくい社会で、収入も低い。その上に母子家庭で子どもに障がいがあったとしたらどうでしょうか?本当に大変なことです。
在宅緩和ケアとちぎ
高齢者や末期がんの患者さんの在宅医療で、緩和ケアは欠かせない医療の一つです。
私どもに在宅医療の依頼が入る患者さんの中には、それまでかかっていた医療機関から在宅医療を断られてしまった、緩和ケアを必要とする末期がんの患者さんもいます。栃木県を中心に、在宅緩和ケアに関心のある人たちが集まって情報交換や勉強会を行っています。
特定非営利活動法人障がい者福祉推進ネット ちえのわ
障がいのある子どものお母さんや学校の先生、相談員と医師など、専門職と当事者がコラボしたNPO法人で、二つの活動を行っています。
一つは、スイーツタイムといって、当事者のお母さんたちがお茶をしながら、お互いに自由に語りあえる場を作っています。ピア・カウンセリングの一つといえるでしょう。
二つ目は、学校などを回り、一般の人の理解を深めるために障がい理解啓発授業を行っています。