#04 レビー小体型認知症は、家族やケアスタッフが気付いているほうが多い。

医師よりも家族やケアスタッフが気付いていることが多い。

レビー小体型認知症の特徴について、医者よりも家族のほうが判っていることが多い。 

何故かというと、家族の方は真剣にレビー小体型認知症について勉強しているからです。

私のところに診察に来られるレビー小体型認知症の患者さんは、それまで受けていた診断や治療に疑問を抱いて、自ら診察を受けに来られる方がほとんどです。 

そこで、それまでの医師による診断を見ると、診断内容がまったく間違っている。当然治療法も間違っている。そんな状況をたくさん目の当たりにしてきました。 

家族同様に、患者さんと接する時間が長いケアスタッフもよく見ています。しかも、介護系の人たちは勉強熱心です。 

アルツハイマー型認知症とはどこか違うな。と気づくのです。しかし医師は患者さんの日常をそんなに長い時間見ていません。診察時間も本当に短い。それこそ10分から20分位でしょう。そこに誤診を生む原因の一つがあります。 

私は、初診の患者さんの診察には必ず2時間以上かけます。そうすればほとんど間違いなく診断できます。その診断を検証するために画像を撮ります。 

ところが多くの医師は、反対にまず画像を見て、それを参考にしながら短い診察で診断を付ける。そこに誤診が生じる。 

家族やケアスタッフが気付くように、医師も患者さんをよく診れば誤診は減ります。ですから、認知症が始まる前にしっかりと診断することが重要なのです。 

そうして私が診断した患者さんは、認知症が出る前に治療を始めるのです。つまり、認知症が発症する前に早期発見ができるのがレビー小体型認知症なのですから、早期発見が重要だということなのです。

表7/レビー小体型認知症の診断のポイント(留意点)

医師は、家族やケアスタッフの意見に耳を傾けることが大切です。

私が在宅診療を行っている特養とかグループホームで、患者さんのそれまでの診断名を見ると、正確な診断ができていない患者さんも多くいます。かかりつけ医の中で、認知症をよくわかっていない医師があまりに多いと感じます。 

単に認知症とか老人性認知症などと正確な診断名ではない病名が記入されている方も少なくありません。治療やケアは正しい診断に基づいていないとできません。つまり正しい診断ができていないから、正しい治療も介護もできていないのです。 

しかし、患者さんを毎日見ているケアスタッフはおかしいことに気付くのです。 

でもそのことが医師には伝わらないことが非常に多い。遠慮して医師の診断に従わざるを得ないからです。この点に関しては、医師の姿勢が問われます。医師が変わらなければならないと思います。 

もっと現場の意見にも耳を傾けることで見えてくることや気付くことが多いはずです。家族の話を聞くだけでも随分判るものです。

医師が本人や家族、ケアスタッフの意見を十分に聞くようにして、そこから疑いに気付くことができれば、それだけでも現状は変えていけると思います。

地域のかかりつけ医の役割

 これからは認知症の時代とも言えますから、かかりつけ医が大きな役割を果たさなければならないと痛感しています。

しかし現状は、認知症をよく解っていない多くの医師が認知症の患者さんを診断して治療しているのです。 

地域のかかりつけ医は日頃から患者さんとの接点を持っているはずですから、認知症の正しい知識を持っていれば、変調に気付く機会も多いと思います。 

自分で判断が難しければ専門医に紹介すればよいのです。それだけでも早期発見につながるのです。この連携は、これからは更に重要になってきますし、地域のかかりつけ医が担える大きな役割だと思います。それだけでも、誤診を防ぎ救える患者さんは増えるはずです。

 専門医も含めて、地域のかかりつけ医が認知症の理解を深めていなければならない。認知症疾患医療センターの専門医の診断結果でレビー小体型認知症が全体の4.3%にすぎないというデータは、まだまだ理解が不十分だという課題を浮き彫りにしていると思っています。

この記事の著者/編集者

坂本諒 法人 役職

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小阪憲司氏インタビュー:レビー小体型認知症の最大の問題は、 医師による誤診

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