#02 医療法人の理事長になるとは夢にも思っていませんでした。

経営判断では医療の質が最優先されるべき

- 鄭理事長は、平成23年に理事長に就任されたと伺っています。最初のころは病院経営に携わるつもりは無かったと伺っていますが、その経緯をお聞かせください。-

鄭氏:私は平成8年4月に、東海大学の消化器内科から出向で海老名総合病院に来ました。

当初は2年ほどでの移動希望を出していたのですが、縁あってそのまま当病院に残ることとなりました。実は私の前に移動者が出てしまい残らざるを得なかったのです。(笑)

その後、海老名メディカルプラザの院長や海老名総合病院の副院長を経て、平成23年4月に理事長に就任しました。

理事長就任の経緯ですが、前理事長が非常に実務能力の高い方で、5年間をかけて当法人の施設整備や経営基盤を作り上げられた後、これからは臨床の現場を熟知している者が経営を見るのがバランス的に良いということで、理事会において私に白羽の矢が立ちました。 

私自身、医療法人の経営に携わることになるとは夢にも思っていませんでした。

当初は財務諸表の理解や行政との折衝などで苦労しましたが、他の理事や職員の方々の協力を受け、実際の経営面においても非常に良くサポートして頂きました。そのおかげで十分な時間を掛けて病院経営を勉強できたと今でも感謝しています。

医療経営では、医師と事務方双方の責任者が車の両輪のように補完、協力し合ってバランスを取って行うことが必要で、どちらか一方だけでは難しいと思います。

当法人の場合、私の他に副本部長が法人全体の経営を見ており、各施設長は医師として診療の質に最重点を置きつつ、理事としてそれぞれの施設の経営に携わっております。

医療機関ですから最終的な経営判断では医療の質の視点が最優先されるべきで、それは現場を知っている医師であり、理事長である私の役割でもあります。現状はグループ全体として上手く経営サイクルが回っていると思います。

医療経営にとって最重要課題とは人材の確保

- 人材確保は多くの医療機関にとって悩ましい課題ですが、貴法人の取り組みを教えてください。また、鄭理事長は、医師には3つのEBMがあると言われますが、それはどのようなことでしょうか。-

鄭氏:医療機関の経営にとって最も重要なのは人材の確保だと思います。有能な人材をいかに整えておくかということ、さらにはその人材を、医療法人が目指す方向に如何にベクトルをひとつにしてゆくかということが重要です。

これは医療に限ったことではなく一般の企業にも言えることだと思いますが、特に医療は属人的な仕事の最たるもので、医療経営にとって最大の経営基盤とは人材だと思います。

医療の世界では、特に経験が最も重要です。

医師をはじめ医療人にとって、最初はテキストに則ったEBMの医療が、10年後には現場経験に裏づけされたexperience(経験)のEBMに、更にその後、人の死や悲しみなどの人生経験を積むことによって得るemotional(心情)のEBMへと変遷してゆくことで、さらに良い医療が出来るようになります。

ですから医師に限らず看護師にも長く医療に従事することで培った経験を十分に活かして欲しいのです。人材は貴重な医療資源とも言えます。ですから、人材の確保とは採用だけでなく長く勤務できる環境を整備する事も含まれます。

この記事の著者/編集者

坂本諒 法人 役職

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