#02【杉山産婦人科】患者さんの事を思い、一生懸命仕事をする

杉山産婦人科は、60年の歴史で培った経験と最先端医療を融合させ、生殖医療科(不妊治療/内視鏡手術)と産科婦人科(分娩)の機能を兼ね備えた国内屈指の産婦人科医院だ。 杉山力一院長は「ご妊娠/ご出産という人生最大のイベントに立ち会える幸せを改めて胸に刻み、「Every Patient here is a VIP(当院の患者様はすべてVIPです)」をモットーに皆様と夢を共感して参ります。」と語る。 生殖医療専門医、内視鏡技術認定医、培養士、産科専門医、麻酔専門医、小児科医、看護師、受付スタッフの全員が不妊治療に携わり、生殖医療科では休診なしでの診療を行っている。(全3回) (『ドクタージャーナル Vol.8』より 取材・構成:絹川康夫、写真:安田知樹、デザイン:坂本諒)

杉山産婦人科の生殖医療科の特徴

当院の生殖医療科の特徴は、通常では大学病院で行う腹腔鏡手術を行っている事です。

大学病院などでは10ヶ月から1年待ちが平均ですが、不妊治療の患者さんにとっては10ヶ月も待ってはいられません。当院ですと2ヵ月位待って頂ければ施術できます。

但し、紹介での腹腔鏡手術は行っておらず、当クリニックの患者さんだけを対象にさせていただいています。

更に日帰りの腹腔鏡手術が行えるのが大きな特徴です。大学病院などですと、院内のシステム上3泊や4泊の入院が必要ですが、当院ではいざという時に何時でも入院できる体制が整っているため基本は日帰りで行っています。これは患者さんにとっては負担が少なく済むという点が大きなメリットです。

今は体外受精なら多くのクリニックでも行っていますが、腹腔鏡手術は特殊な手術なので、できるところは非常に少ない。

腹腔鏡手術を行うと、多くの方が体外受精をしなくても自然妊娠できるので、患者さんにとってその選択ができるのは当院の大きな強みです。

傷跡が3mmの世界最小の日帰り腹腔鏡手術

更に言うと、当院での腹腔鏡手術では傷跡が3mmとおそらく世界でも最小なので、手術が終わったあとも縫合はしません。絆創膏を貼って終わりです。抜糸もありませんから日帰りが可能なのです。

東京駅丸の内の新丸の内センタービルにある杉山産婦人科丸の内は国内初の日帰り不妊内視鏡手術を行う生殖医療科専門のクリニックとして、5人の医師と1人の麻酔科医が常勤しています。

完全予約制で1日約130人の患者さんが来院されています。殆どは首都圏の患者さんです。

2011年5月にオープンしましたが、現状は予約の患者さんでほとんど満杯状態です。不妊の患者さんは不妊治療をしても妊娠する確率が低いので、どうしても患者さんが増えていく傾向にあります。

不妊クリニックに来られて妊娠されることを「卒業」と呼ぶのですが、最終的に妊娠できる方の割合は全体の55%くらいと低いのです。これは当院に限った事ではなく、不妊治療の平均的な成功率数値です。

出産の5割を占める無痛分娩

産科の特長としては、当院では50%の方が無痛分娩で出産されます。無痛分娩を行える産院は少ないので患者さんが無痛分娩を選べるのことも1つのメリットです。

無痛分娩の最大のメリットは痛みが無いので、お産の後のお母さんがとっても元気だということです。お産の疲れも無いので、翌日には普通に歩いています。

ただ、無痛分娩はとても手間がかかるために、産婦人科で行っているところが少ないのです。患者さんに麻酔を掛けるので常時マンツーマンで診ている必要があり、すごい時間と手間がかかります。

血圧計から各種のモニターまで付けて、さながら手術中の患者さんのような状態で、担当医はひと時も休まず診ています。

そのために人材の確保の問題が大きい。ですから無痛分娩を行う病院は少ないのです。産院全体の1割以下だと思います。

当院には最初から無痛分娩での出産を希望されて来院される患者さんも多く、年間で約1000人の出産数の内、半分ほどは無痛分娩です。

任せる事で人は育ちます

当院では、1階が不妊治療専用で、2階が産科専用のフロアーになっています。

これは不妊治療の患者さんがエレベーターホールを使わなくて済むようにとの配慮と、3階、4階の病棟に2階に産科の診察室をつなげ産科医のフロアー移動をスムーズにしたためです。他の産院とは違う発想かもしれません。

患者さんの検査や治療の移動のための動線を短くすることを最優先し、圧迫感をなくすために廊下も広く天井も高く設計してあります。

現在、全スタッフは約200名ですが、私は特にスタッフ教育やマネジメントのための会議などは行いません。

基本的には現場のスタッフと責任者に任せています。服装なども自由です。但し、「常に患者さんから親しまれ信頼される行動を取るように」と、これだけはスタッフ全員に常々言っています。

私が余計な口を出さない主義なので、現場のスタッフは逆に責任感が強くなり、お客さまからのクレームなども現場で解決している事が多いようです。自分たちの仕事に強いプライドを持って取組んでいることが見ていて感じられます。

自分がいなくても杉山産婦人科である事

私がこの医院を作った時の最大の目標は、「自分がいなくても杉山産婦人科である事」でした。院長である私がいなくても大丈夫な杉山産婦人科のブランドを作ると言う事です。

私にはトップでいることへの思いや有名願望は特にありません。むしろ医療以外の分野も含めていろいろな事がやりたいので、どんどん人に任せるようにしていますし、現場が判断したことは尊重するようにしています。

結果としてスタッフがそれぞれ責任感を持って行動するような組織が作れたと思っています。

医療経営の要因は一生懸命に仕事をすること

医療経営の成功の要因はと聞かれれば、一生懸命に仕事をすることだと答えます。

例えば、患者さんが来院できる時間に病院を開けていることです。つまり土曜日、日曜日も診療すれば患者さんは絶対に増えます。

患者さんの事を思えば診療時間もなるべく夜遅くまで受け付ける事だと思います。但し、スタッフの疲労も考えて、当院ではローテーションやシフトの調整では工夫しています。

日曜日の診療は確かに大変ですが、お産も体外受精もこちらで曜日は選べないのが我々のようなクリニックの特徴です。

しかし不妊クリニックによっては排卵日が日曜日なのに土曜日に卵子を取っているようなケースもあります。これは専門家から見て絶対に間違っています。

ですから患者さんには、不妊治療を受けるなら日曜日も受け付けてくれるクリニックを選びなさいと、これだけは患者さんに強く言います。このことも田中先生から教えられたことです。

杉山産婦人科の基本情報

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この記事の著者/編集者

sugiyama_rikikazu 杉山産婦人科 院長

医療法人社団杉四会 理事長 杉山産婦人科院長
平成6年東京医科大学卒業、平成10年北九州市のセントマザー産婦人科で6ヶ月間の研修を受ける、平成12年杉山レディスクリニック開院、平成19年産婦人科総合施設として杉山産婦人科開院、平成22年杉山産婦人科丸の内開院、平成30年1月杉山産婦人科新宿新病院開院予定。

この連載について

不妊ドックに力を入れる不妊治療専門医 

連載の詳細

杉山産婦人科は、60年の歴史で培った経験と最先端医療を融合させ、生殖医療科(不妊治療/内視鏡手術)と産科婦人科(分娩)の機能を兼ね備えた国内屈指の産婦人科医院だ。 杉山力一院長は「ご妊娠/ご出産という人生最大のイベントに立ち会える幸せを改めて胸に刻み、「Every Patient here is a VIP(当院の患者様はすべてVIPです)」をモットーに皆様と夢を共感して参ります。」と語る。 生殖医療専門医、内視鏡技術認定医、培養士、産科専門医、麻酔専門医、小児科医、看護師、受付スタッフの全員が不妊治療に携わり、生殖医療科では休診なしでの診療を行っている。(全3回) (『ドクタージャーナル Vol.8』より 取材・構成:絹川康夫、写真:安田知樹、デザイン:坂本諒)

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